「ブロックの神様」と呼ばれる同級生

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「ブロックの神様」と呼ばれる同級生

荒木絵里香(トヨタ車体クインシーズ)× 富松崇彰(東レアローズ)




荒木
トミー(富松)はブロックの人だよね。
富松
基本はそれしかないからね。
荒木
寄せ方がうまいなぁと思って、映像とか、試合とか見ています。何かよそ行きっぽいコメントだけど(笑)。でも相手が中途半端なフェイントをしてきて、それを思い切り叩いた時、ブロックのハエ叩きはどや顔になるよね。してやったり、だから(笑)
富松
なる(笑)。そんなフェイント通らねぇぞ、とか走りながら言っちゃう時がある(笑)。荒木さん、何回ブロック賞取った?
荒木
何回だったかな(現在5回)。でも復帰してすぐブロック賞が獲れた時は、私が取っちゃっていいの? って思った。だって、私が取るようじゃ日本の女子バレーも終わっているでしょ。
富松
うわー。すごい発言だ。自分が何を言うか忘れるぐらいの衝撃だった(笑)
荒木
どこが?(笑) 私みたいにしばらく離れていたような選手が獲れるようじゃダメでしょ、っていう意味だよ(笑)。みんなもっと頑張んなきゃね、って思う。
富松
そういうことね。あーびっくりした(笑)。でもどのスポーツでもそういうことは言えるだろうね。だけど休んでいたとはいえそれまでも結構ブロック賞獲ったでしょ?
荒木
獲ったかな。でも「ブロック賞をたくさん獲っている」と思われるだけでも、イメージ勝ちだよね。
富松
荒木さんがいない何年間かは、相手のスパイカーからすれば「いない」と思って打つわけだから。そこへ急に戻ってきたら、やっぱり「うわ、また来た。これは抜けない」っているだけでプレッシャーになるでしょ。壁が来た、どうしよう、あっちに打ったらやられるな、ってわかりながらもそこに打たないと勝負にならないから、打って、結局やられちゃう。
荒木
そう。それで止めてどや顔(笑)。でもね、私自身、自分は空気みたいだなって思うよ。「今、私一生懸命やっているけど、他の人に見えているかな」って思うことがある。
富松
それはないでしょう。みんな怯えてるよ(笑)



荒木
いや、トミーはイコールブロックだから。全然違うよ。何回ブロック賞獲ったの?
富松
10年で7回。
荒木
すごいね。そうなると逆に「獲れた」という感覚じゃなくて、「獲れなかった」のが何でだろう、っていう感じ?
富松
どうだろうな。いきなり内定選手の時にブロック賞を取って、その後2、3年は豊田合成の北川(祐介)さんがすごかったので取れなくて、北川さんが引退してから5年ぐらい連続かな。でも(14/15シーズンに7位で)V・チャレンジマッチ(入替戦)に行った時は獲れなかったから、負けたらダメだな、止まんないから負けるんだなって思った(笑)。やっぱりチームとして止めるブロック、組織的なブロックという面で、東レはあまり細かく言われなくて、リードもコミットも好きにやっていいよという環境も大きいかな。全部リードで組織的に跳べと言われたら全然この成績にはなってないと思う。好きにやらせてもらっているおかげでしょ。
荒木
私も同じ。あんまり言われすぎて、いちいち指示を出されると止まらないよね。
富松
確かにそう。考えすぎちゃう。次はどこへ行けばいいんだっけ? って足が止まっちゃう。
荒木
実際にそうやっている時もあるんだけど、その時はあまりブロックポイントとしては止まっていない気がする。でも内定(選手)でブロック賞ってホントすごいよね。
富松
たまたまだよ。その頃はジャンプサーブを打っていたから、まだサーブはマシなほうだったけど、攻撃がカス(笑)。男子って2個武器を持っている人はそこそこ活躍できるんだよね。アタックとサーブ、レシーブとサーブ、アタックとレシーブ、とか。荒木さんぐらいできたら完璧だよ。
荒木
レシーブはちょっと(笑)。みんな狙うんだよなぁ(笑)。あいつに拾われた、と少しでもダメージを与えたいのに全然上がらない(笑)。
富松
女子は全部できないといけないっていうイメージが強いね。
荒木
国内のリーグと全日本の試合は違うからかね。どうだろう。でもVリーグに関しては、なかなか点数が取れなくなってきているので、総得点が減らないようにそこは踏ん張りたい。


富松
男子は基本的に外国籍選手が打つから、総得点とか得点王とか考えたこともないや。そもそものスパイク打数が少ないから。
荒木
でもそれがスタンダードだから、どれだけみんながその大砲を生かすためにその能力を発揮させられるか、というのが大事なんでしょ。献身的な選手が生きないと勝てないから、そういう選手がいる人が勝っているイメージがあるかな。
富松
その通り。だから僕らはエサだもん。「頼むよ」って撒いておく(笑)。おとりに跳ぶのが仕事ですから。
荒木
見てほしい人は一人だけなんだよね。自分の前にいるミドル(ブロッカー)だけが見てくれればいいのに、そのミドルさえも見てくれない時の悲しさ(笑)。あー、お前もか、って思う(笑)。
富松
ひたすら跳んでいるからね。だから、たまには珍プレーもあるんだよ(笑)。
荒木
何をしたの?


富松
ピンチサーバーが入って、めちゃくちゃいいサーブを打った。相手のレシーブも崩れてくれて、そのままダイレクトでボールが返って来たから「来た~!」と思って、思い切り跳んだらジャンプが合わなくて、手に当たったんだけど自分のコートにボールが来ちゃった(笑)。うわー、速すぎた、って(笑)
荒木
(爆笑)。その後周りに何て言ったの?
富松
普通の顔で何事もなかったように、ゴメン、って(笑)。しかもファイナル6のパナソニック戦の終盤で、20点以降の結構競った場面だったから、ゴメン、って言って、ヨシ、次行こうか、って。みんなは「え?」みたいな感じだったけどね。
荒木
そりゃあそうでしょ(笑)。なかなかないね。
富松
今リーグ11シーズン目だけどね。そんなプレーもありますよ(笑)。
荒木
Vリーグで長くやっているといろんなことがあるよね。雪で帰れなくなっちゃうこともあるし。でも移動自体は慣れているから全然何とも思わないよね。
富松
確かに。常に試合がいいや、って思っているからね。
荒木
ずっと試合が続いたら、体はきついでしょ。
富松
ケガをしすぎて逆に体がボロボロすぎて練習だと満足に動けないから、試合のほうが動ける。荒木さんは大きいケガもないもんね。
荒木
大きいケガはないけど、ちっちゃいのはちょこちょこ増えて来たかな。お互い体には気をつけないとね。Vリーグは全国いろいろな場所で試合があるから、普段はなかなか生でバレーが見られないという人たちにもたくさんバレーボールを見てもらえるいい機会なので、もっと身近にバレーを見て、知ってもらえるといいね。
富松
あと4年後に東京があるので、体を大事にしてお互い頑張りましょう。
荒木
東京オリンピック! さすが(笑)。私はまずは1年1年頑張ります。一緒に頑張りましょう。
(続きは月刊バレーボールへ)

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